図書館で借りた、とても素敵な本。
中島 智章 『パリ 名建築でめぐる旅 』河出書房新社 2008
に載っている、パリの代表建築を年代別に、ざっくりまとめています。
ゴシックとルネッサンスの融合
p.40-
サントゥスターシュ聖堂
Eglise St-Eustache
様式:ゴシックとルネッサンス
お近くの駅:RER-A,B,D線 シャトレ=レ・アール
基礎データ
・シャルル7世の時に百年戦争終結
・シャルル8世、ルイ12世、フランソワ1世の3代に渡って続くイタリア遠征
・フランス軍の攻城砲がイタリア半島の中世的建築方式の市壁を無力化
↓
イタリア半島において新たな要塞建築術を生み出すきっかけになった
・ゴシックの本場から来たフランス人にとって、ミラノの初期ルネサンス建築がルネサンス建築入門となる。
・イタリア遠征に参加した王侯貴族によって、ゴシック様式を基礎とするフランスの建築にルネサンス建築の要素が導入されっていった
<サントゥスターシュ聖堂>
・世俗の建築で徐々にルネサンス様式が広がりをみせた16世紀フランスであったが、教会堂建築においてはゴシックの伝統が支配していた。
・そんななかルネサンス様式を取り入れた数少ない作例が、パリのサントゥスターシュ聖堂。
・ゴシック的要素
ーきらめくステンドグラス
ー建物周囲のフライングバットレス
ー放射状祭室の輪郭線
ー実際、平面計画はパリのノートル・ダムを意識下もの
・ゴシックとは異質の要素
ーゴシックの最大のデザイン的特徴である、ポインテッド・アーチではなく→半円形アーチによるリブヴォールト
ー柱には古代建築やルネサンス建築でみられる、スーパーコラムニエーションと呼ばれる技法
ーゴシックではピアと呼ばれる細い円柱を1本に束ねたような柱→この聖堂では古代風の円柱を重ねたものを使用し、柱の一番上の装飾に巧みに利用している。