図書館で借りた、とても素敵な本。
中島 智章 『パリ 名建築でめぐる旅 』河出書房新社 2008
に載っている、パリの代表建築を年代別に、ざっくりまとめています。
p.25-
ゴシック建築 その2
ゴシックの代表建築は
パリのノートル・ダム大聖堂。
年代:12世紀後半から13世紀 1168ー(1345)
様式:ゴシック様式、ネオ・ゴシック様式
お近くの駅:地下鉄4号線 シテ駅/RER-B線、C線 サン・ミシェル=ノートルダム駅
基礎データ
・3大ゴシック聖堂;
12世紀後半から13世紀にかけて建設された、
シャルトル、ランス、アミアンのノートル・ダム大聖堂は3大ゴシック聖堂と呼ばれるゴシックの傑作。
・パリのノートル・ダム大聖堂(以下、パリのND大聖堂)はシテ島に。
・モーリス・ドゥ・シュリー司教と石工ピエール・ドゥ・モントルイユが中心に1168年に着工。
・主要な工事だけでも1250年まで続いた。
・最初の設計された部分が完成したのは1345年。
(1345年。覚えやすいですね。)
・正面のファサードの左右に2本の塔がある双頭形式で、これがフランスのゴシック聖堂のスタンダードになった。
・着工当時は、まだロマネスク様式が優勢で、正面に向かって右側のポルタイユ(主要入り口)のファザードに、ロマネスク的な痕跡があり、半円形を無理矢理ポインテッドアーチに改造したような跡がある。
・ヴォールト(石造りの天井)を下からみると×印に水平線がもう1本入っているデザインが連続している。
・これは六分ヴォールトと呼ばれ、初期ゴシック建築にはよくみられた。
・中期ゴシック建築ではより簡素な×印が重なる、四部ヴォールトが多い。
・したがって、パリのND大聖堂はロマネスク様式のテイストを一部に残した初期ゴシック建築の傑作といえる。
・パリのND大聖堂で重要なのは
ー1.3つの薔薇窓のステンドグラス
ー2.正面ファザードの3つのポルタイユの上のレリーフ
・薔薇窓はイル=ドゥ=フランス地方のゴシック建築の特徴のひとつにもなっている。
・パリのND大聖堂のステンドグラスの主題は、少し後に建設の始まった、シャルトルのND大聖堂のステンドグラスに影響を受けている。
・シャルトルのND大聖堂の薔薇窓の図像
ー北 聖母子を中心とした旧約聖書の予言者たち
ー南 新約聖書 キリスト受難や使徒たち
ー正面 新約聖書最後の「ヨハネ黙示録」最後の審判
つまり、キリストの、過去、現在、未来である。
・パリのND大聖堂の薔薇窓の図像
ー南 王座に着いたキリストを中心に天使たちなど
ー正面 最後の審判
つまり、キリストの、過去、未来、未来である。
・パリのND大聖堂、正面3つのポルタイユは
ー右 サンタンヌ(聖アンヌ)
彫刻はロマネスク的であり、
レリーフの形状もロマネスク的。
―中央 最後の審判
―左 聖母マリア 聖母被昇天 聖母戴冠
・でも、パリのND大聖堂の正面ファサードの彫刻は、革命後の破壊運動(ヴァンダリズム)に巻き込まれて、王の彫像と間違われて破壊されてしまった。
・今の美しい彫刻は、19世紀の修復建築家によるもの。
ちょっと理解ってくると、とても面白い。
ちいさなきっかけで世界が広がるなあ。
まさに、理転ならぬ。フランス語のフ転。
フ転の海。
。。。。
いや、ちょっと言ってみただけです。