2011年12月21日水曜日

建築3 ゴシック

図書館で借りた、とても素敵な本。
中島 智章 『パリ 名建築でめぐる旅 』河出書房新社 2008
に載っている、パリの代表建築を年代別に、ざっくりまとめています。



(この地域は神様に守られているせいか、グーグル散歩ができない設定になっているので、地図のみ。神秘的ですね)

ゴシック建築は奥深いので、2部に分けて、2夜連続でお届けします。

p.22-
ゴシック建築 その1

ゴシック建築のはじまりは、

サン・ドゥニ修道院 Basilique de Saint-Denis

様式:ゴシック様式

※きーわーもとして「フライングバットレス」という建築用語が出てきますが、これは本の挿し絵をご覧いただかないと、形や構造を想像するのはむずかしいと思います。

基礎データ


・ゴシック建築は、ルイ7世の時代、ルイ7世の側近であったサン・ドゥニ修道院の修道院長スゲリウス(←これはラテン語表記。現代フランス語ではシュジェ)のアイデアから生まれたと言われている。

・サン・ドゥニ修道院はパリ北郊にあり、歴代フランス王のお墓を守る重要な修道院。

・12世紀前半、この修道院の付属聖堂はロマネスク様式で建築が進められていたが、スゲリウスさん(以下スゲさん)は堂内をもっと「光」、「神の光」に満ちた空間にしたいと考えていた。

・ロマネスク様式は、石造り。石でヴォールト(石造りの天井)を作ると重いため、半円筒形にした時に横に開くチカラが生じる(この横開くチカラのことはストラトという)という問題があった。

・ロマネスク建築の特徴である1.ヴォールトを備えていること 2.ストラトのこと。この二つの問題で、ロマネスク建築の壁は厚く開口部は狭く、内部は暗かった。

・スゲさんの理想の「神の光」をもっと取り入れるには、壁を薄く開口部を広くする必要があった。

・そこで、ロマネスク建築とは違う構造が生み出された。

・1.ポンテッドアーチ(尖頭アーチ);二つの円弧を組み合わせたアーチのことで、それにより先が尖ったような形になる。

・2.フライング・バットレス(飛梁);ポンテッドアーチの採用により、石造りの天井にも複雑で細い石材装飾(リブ)が施され、上に高さも出たため、ストラト(横に開くチカラ)も弱められた。そのストラトを横から支えるのが、フライングバットレスである。

・石造りの重さとストラト問題を解決、そして広くなった開口部にステンドグラスを配して、堂内部を多様な光で満たしたのが、スゲさんのアイディアから生まれたゴシック建築である。

・1136年~1144年にかけて、サン・ドゥニ修道院付属聖堂のアプスと放射状祭室が作られて、これがゴシック建築のはじまりとなった。

・ゴシック建築の特徴は3つ。
ー1.ポンテッドアーチの採用
ー2.リブ・ヴォールトの適用
ー3.フライングバットレス構造

※「リブ・ヴォールト」については、
昨日のパリの建築2を読み直すと、ふむふむ。と納得です。


サン=ドニの身廊北西部、夕刻 wiki

しかし、素晴らしい本です。
初めからちゃんと読むと、ちゃんと理解できるようになっています。
感謝。