2015年4月5日日曜日

俳句:芭蕉のセンスと富士の風

さて、
フランス語俳句の教科書代わりにしている
鶴本ことLe petit livre du Haiku (kindle)

今日はNo.113から芭蕉の句をひとつ。

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Sur l'éventail
Je mets le vent venant du mont Fuji,
Voilà le souvenir d'Edo.

富士の風や扇にのせて江戸土産
松尾芭蕉

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ギョーム・ガリエンヌの来日講演でも能舞台と「扇」の話をしていましたが、言葉や映像で語る時に「扇」というアイテムは美+伝える要素になります。建築用語の「扇状ヴォールト」や数学的には円グラフなどもあります。
 
で、俳句の話にもどりますと、この句を読みながらふと思ったのは、もし同じような俳句を詠もうとして「扇(おうぎ)」ではなく「扇子(せんす)」という言葉を選んだとしたら、

富士の風や扇子にのせて江戸土産
 
なんとなく、センスのない・・・、ださい句になってしまうものですね。

感受、感謝。