FRANCE. The Val de Marne 'departement'. Joinville-le-Pont, near Paris. 1938.
HCBという写真家が誕生したのはいつなのか。
HCBの友人マンディアルグは
「私は、現代のもっとも偉大な写真家が誕生するのを見た」p35
と、共に旅をした1933年のイタリア各地の旅を振り返っている。
*アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ(André Pieyre de Mandiargues, 1909年3月14日 - 1991年12月13日)は、フランスの作家。
撮影のために旅をするHCB。
1934年春、南米行きの船に乗り、メキシコに1年滞在。
1935年春、ニューヨークに到着。20年代にパリで知り合った友人たちに再会
友人たちの言葉から、当時のHCBの姿を垣間みることができる。
「瞬間写真をとりながら、長い散歩をして時間を過ごしていた」 NY p.40
「官能性と幻覚主義の奇妙な混合」 HCBの構図について p.41
そして、HCBの「構図」については、インタビューでHCB自身が答えている。
「聖書の福音書には『はじめに言葉があった』と書かれているが、
私にとっては『はじめに幾何学があった』のである」p41
このインタビューのタイトルは、哲学者プラトンの言葉を引用したもので、
「幾何学者でないものは、誰もここに立ち入るべからず」p41であった。
1952年に発売されたHCBの写真集 (装丁はマティス)
仏語原題 『Image à La Sauvette』 (邦題「逃げ去るイメージ」)
英語の題 『The Decisive Moment』 (邦題「決定的瞬間」)
の序文、
「私にとって写真とは、現実のなかに面と線と色価のリズムを認識することである」 p.41
感受、感謝。